猫の完全室内飼いのメリットとデメリット
*長文です、記事が重くてスミマセン💧
記事の内容
■なぜ完全室内飼いなのか
■完全室内飼いのメリット
・病気や寄生虫を予防する
・事故や怪我を防ぐことができる
・周りの猫との縄張り争いによるストレスがない
・ご近所の生活環境を守ることができる
■完全室内飼いのデメリット
・運動不足になり肥満しやすい
・室内でも危険がある
・猫同士の仲が悪い時に逃げ場がない
■完全室内飼いで飼育するコツ
・環境を整える
・掃除はこまめに
・避妊去勢手術をする
■脱走を防ぐ
■もし脱走してしまったら 対応1〜3
猫を家族に迎える時に完全室内飼いにするか外に自由に行き来できるようにするか、猫にとってどっちが幸せなんだろうと悩む飼い主さんもいると思います。窓の外をじっと見つめる猫を見て『本当は自由に外に出たいのかも』と心を痛める飼い主さんもいます。なぜ今、完全室内飼育が推奨されているのか、室内で猫が幸せに暮らすために飼い主さんに何ができるのかご紹介します。
なぜ完全室内飼いなのか
一言で言うと『法律で定められているから』です。
環境省が定める『家庭動物等の飼養及び保管に関する基準』があります。そこでは猫の飼育について特別に基準が定められています。(第5の2に注目!)
第5 猫の飼養及び保管に関する基準
1 猫の所有者等は、周辺環境に応じた適切な飼養及び保管を行うことにより人に迷惑 を及ぼすことのないよう努めること。
2 猫の所有者等は、疾病の感染防止、不慮の事故防止等猫の健康及び安全の保持並び に周辺環境の保全の観点から、当該猫の屋内飼養に努めること。屋内飼養以外の方法 により飼養する場合にあっては、屋外での疾病の感染防止、不慮の事故防止等猫の健 康及び安全の保持を図るとともに、頻繁な鳴き声等の騒音又はふん尿の放置等により 周辺地域の住民の日常生活に著しい支障を及ぼすことのないように努めること。
3 猫の所有者は、繁殖制限に係る共通基準によるほか、屋内飼養によらない場合にあ っては、去勢手術、不妊手術等繁殖制限の措置を講じること。
つまり『猫を飼うなら出来るだけ室内で飼ってね』という法律です。
それを踏まえて縁猫かごしまでは、トライアル&正式譲渡した場合『完全室内飼い』をお願いしています。
でも完全室内飼いは猫にとって本当に幸せな生き方なのか?
猫が室内で幸せに暮らすために、飼い主に何ができるのかご紹介します。
完全室内飼いのメリット
病気や寄生虫を予防する
室内外に自由に出入りする猫は野良猫たちやネズミ・カエルなどの野生動物から寄生虫や病気をもらってくることがあります。特に猫同士触れ合わなくても、寄生虫で下痢をしている野良猫の糞尿を踏んでしまい寄生虫が体内に侵入します。
野良猫と縄張り争いで噛んだり噛まれたりして猫エイズや白血病などの命に関わる病気に感染する可能性もあります。猫風邪と呼ばれるヘルペスウィルスや猫カリシウィルス・クラジミアなどの感染力の強い病気ももらってくることがあります。
完全室内飼いでも寄生虫がついたり病気にかかったりすることがありますが、完全室内飼いすることで病気や寄生虫のリスクを減らすことができます。
事故や怪我を防ぐことができる
外に出ると交通事故や野良猫たちとの喧嘩で大怪我をする可能性があります。特に猫の『後ずさりができない』特性上、車に轢かれて命を落とす猫は少なくありません。夜間は車のヘッドライトで目がくらんで動けなくなることもあります。完全室内飼いで無用な事故や怪我を防ぎましょう。
周りの猫との縄張り争いによるストレスがない
完全室内飼いの猫の縄張りは家の中です。(ケージ飼いしている場合はケージの中)室内外に自由に出入りする猫の縄張りは家の中と家の周りです。
猫は自分の縄張りを守ろうとする生き物。自分の縄張りだと思っているところに他所の猫や野良猫が入ってくれば非常にストレスを感じ全力で追い出そうとします。(中には仲良くなって縄張り内にいることを許すこともあります。)
家の内外を自分の縄張りだと主張するために、室内外を問わずスプレーと言っておしっこでマーキングしまくるようになります。(うちはそれで買って1年の液晶テレビを壊されました経験があります)
完全室内飼いすることで自分の縄張りを侵される心配がなく、猫は安心して暮らすことができます。
ご近所の生活環境を守ることができる
室内外を自由に出入りする猫は、外でふん尿をするようになります。これはふん尿で縄張りを主張する、猫を含む動物の習性として自然なことです。しかしこの習性による臭いや不衛生な環境が、近所トラブルになります。中には自宅の庭に毒餌を撒くという極端な対策をする人もいます。
また避妊去勢していない猫は外に出ると交尾の相手を探して、独特の大きな声で鳴きます。これが騒音となりご近所から苦情が来ることもあります。
ご近所の生活環境と自分の猫の安全を守るためにも、避妊去勢手術をして完全室内飼いで飼育しましょう。
完全室内飼いのデメリット
完全室内飼いは猫にとってメリットがいっぱいですが、気をつけなければならない点があります。
運動不足になり肥満しやすい
活動範囲が室内ですので、どうしても運動不足になりがちです。外の縄張りを1日に何度かパトロールする猫に比べると、室内飼いは運動不足から肥満になりやすいです。
ど〜ん!
室内での危険もある
水の溜まった浴槽で溺れる危険や、気温が高い日に室内で熱中症になるという危険があります。
他にも猫にとっては有害な種類の観葉植物や生け花やアロマオイルの香り、紐やゴム、薬の誤食、中途半端な高さから落ちて体勢を立て直せずに骨折することもあります。(うちの猫は本棚から落ちて腰の骨を骨折しました。)
猫同士の仲が悪い時に逃げ場がない
兄弟猫を一緒に引き取った場合は大丈夫ですが、先住猫がいるところに新しい猫を連れてくると喧嘩やいじめが起こることがあります。その時に完全室内飼いでは弱い立場の方の猫の逃げ場がなく、怯えて問題行動や粗相など起きることがあります。
以上のように完全室内飼いでも注意が必要ですが、飼い主さんの配慮で猫にとって幸せな生活を提供することができます。
完全室内飼いで飼育するコツ
環境を整える
猫を飼育するためには、安全に生活できるように環境を整えることが必要です。
- 浴槽は使用後は水を必ず抜く(ふたに乗って落ちることがあります)
- 火の元や熱くなるもの(アイロンや炊飯器の蒸気など)に猫を近寄らせない
- フローリングで猫が滑るときはカーペットやゴザを敷く
- アロマオイルは猫が入る部屋では使用しない
- 猫にとって有害な植物(特にユリ科)は飾らない
- 薬はキチンと管理する
- 室温が高くなりそうな時には冷房や扇風機で対策をする(扇風機は部屋の空気を攪拌するためのもので、猫は汗腺がないので扇風機で体を冷やすことはできません)
他にも、猫は水平移動だけでなく垂直移動も好きな生き物です。本棚やカラーボックスなどで高い場所に行けるように工夫してください。キャットウォークも作ってあげると猫の活動範囲が増えて肥満防止につながります。
掃除はこまめに
猫は綺麗好きな生き物です。トイレは1日に2回は掃除してあげましょう。猫砂が臭うようになったら取り替えてください。
部屋の掃除もこまめにしましょう。特に抜け毛の時期は2匹でも相当量が抜けます。1日の抜け毛量で、抜け毛フェルトでキーゴルダーサイズのマスコットができるほどです。部屋の隅に溜まった抜け毛を猫が飲み込んでしまったり、人が吸い込んだりして良いこと無しです。
抜け毛を減らすためにブラッシングを定期的にしてあげましょう。猫の体調管理も一緒にできますし、猫がグルーミングで飲み込む毛の量も減り、毛玉の吐き出しも減らすことができます。
避妊去勢手術をする
避妊去勢手術が必要な理由は4つあります。
1. 不幸な捨て猫・野良猫を増やさないため。
画像は"HUG不妊去勢推奨ポスター"です。
HUGのサイトはこちら。
2. 避妊去勢手術により防げる病気があります。
メスなら子宮蓄膿症・乳腺腫瘍・卵巣腫瘍、オスなら精巣腫瘍を予防できます。また発情期に他の猫と接触することで猫エイズや白血病に感染することがありますが、避妊去勢手術をすることで発情期がなくなり病気に感染する危険が減ります。
3. 発情期が無くなることで、猫の鳴き声や喧嘩による騒音がなくなります。
この発情期の声はとても響くので近所迷惑にもなりますが、飼い主自身も参ってしまい猫を外に放してしまうことがあります。かくいう自分も保護した猫の1匹が手術前に発情してしまい、手術日が来るまでの3日間は鳴き声で全く寝ることができませんでした。発情期がきて外に放牧されてしまった猫は確実に妊娠して(させて?)帰ってきます。
4. 去勢した猫は縄張り意識が抑えられて他の猫を仲良く過ごしやすくなります。
去勢手術をしていないオスは初めての発情期が来た後は縄張り意識が強くなります。たとえ兄弟姉妹で今まで仲良くしていても執拗に追いかけ回したり、喧嘩をふっかけたり、いじめたりして、猫同士非常に緊張した関係になります。弱い猫はストレスで噛み付いたり脱走して帰ってこなくなったりすることもあります。
去勢することでこれらのトラブルを未然に防ぐことができます。最初の発情期が来る前に手術する方が他の猫たちと仲良く暮らしていけるようです。
仲の良い兄弟・親子の猫を飼う
仲の良い猫を同時に飼い始め、避妊去勢手術をすることで猫同士のいじめや喧嘩などトラブルを防ぐことができます。詳しくはこちらで説明させていただいてます。
どうしても先住猫がいる上で新しい猫を連れてくる場合には部屋を別にしたり、猫同士が馴染むまで新しい猫をケージ飼いするなど時間をかけて準備して下さい。譲渡会で猫をもらってくる場合、あらかじめ長めにトライアル期間を設けてもらうなど配慮が必要です。
脱走を防ぐ
思わぬ時に猫が脱走することがあります。
(私も何度脱走されたか・・・💧)
大きな音に驚く、急な来客により不用意に玄関を開けられる、網戸が外れた(それはウチ)などの原因で猫が脱走するのをできるだけ防ぎましょう。
脱走を防ぐ方法
脱走経路はほとんどが窓か玄関です。窓などは猫に寄っては上手に開けてしまう可能性があるので施錠したりフェンスをつけたりすることで防ぐことができます。
急な来客が不意に玄関を開けて猫が脱走するということを防ぐのに、ドアにステッカーを貼っておくのも予防策としていいでしょう。
うっかり窓が開いていたりして猫が脱走しそうになった時には飼い主もびっくりして大きな声を出しそうになりますが、猫はその声で驚いて飛び出していってしまうので落ち着いた低いトーンの声で対応しましょう。
窓から家の外を観察できるようにする
万が一ということもあるので(災害など)、猫には窓から家の周りが観察したり、網戸にして家の周りの匂いを嗅いだりできるようにしましょう。家の周りがある程度判っていれば、万が一脱走した時にも戻ってきやすくなります。
窓に近いところにキャットウォークやキャットタワーを設置して、家の外が観察できるよう工夫しましょう。
もし脱走してしまったら
猫は家の外という慣れない場所に出る時には、相当周りの環境を観察して出ます。脱走しそうな時に大きな声を出すと、この観察が中断されて猫が自分で戻ってくる目印を認識しそびれてしまいます。
もし脱走しても慌てずに対応しましょう。
対応1 猫捕獲機を仕掛ける。
猫が普段キャットタワーなどから見て馴染んでいる場所に仕掛けましょう。
縁猫かごしまで譲渡した猫が脱走した場合には、是非とも連絡してください。猫捕獲用ケージを無料でお貸しします。
対応2 捕獲機の周りに猫が使用している猫砂を置く
猫は犬ほどではないものの、とても嗅覚が優れています。自分の匂いのついている猫砂があれば匂いを辿って帰ってきやすくなります。
対応3 猫が自力で帰ってこれるように、窓や玄関を開けておく。
家に残っている猫はケージや別室に避難させておいて、猫が逃げた窓や玄関を開けておくことで猫が自力で帰ってくることができます。
夕方や夜中にそっと帰ってくることもあるので、安全に気をつけて可能な範囲で少し開けて静かにして待っててください。
猫を完全室内飼いにする理由と、脱走を防ぐ方法、脱走した時の対応の仕方を簡単に説明させていただきました。保護猫の新しい飼い主さんを希望される場合には猫と飼い主さんの幸せのために、ご理解よろしくお願い申し上げます。
長文読んでくださって、ありがとうございました。
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